南インド事情:カンチープラムのエーカンバラナータル寺院,なのだ
撮影:2018年11月26日 

エーカンバラナータル寺院前に聳える巨大なゴープラム。 高さは50mを越えているという。 日本のお寺で言う「山門」である。

 インド南部タミル・ナドウ州,カンチープラム市(Kanchipuramu)のエーカンバラナータル寺院(Sri Ekambaranathar Temple)は,巨大なヒンズー教の寺院であった。

 南インド特有のゴープラム(Gopuram:塔門・楼門)を備えているが,これはドラヴィダ型建築のヒンズー教寺院に特有のものだという。

 本尊はかの有名なシバ神(Shiva)である。 日本に入って「大黒天」になったとか「不動明王」になったとか言われているが,後者はうなずけるモノがある。

 訪ねた日は何らかのお祭りが開催されているらしく,多くの信者が多く集まってお祈りをあげていた。 また,寺院内の至る所に灯明が点されていた。

 本尊を含む神々を祀るお堂に入れるのはヒンズー教徒のみとのことで,堂内の外周路だけの見学であったが,日本式のお寺と違うのでとても興味深かった。

 右の撮影場所を示す図は,エーカンバラナータル寺院の公式ウェブサイトに掲載されている寺域図を一部修正すると共に撮影場所を加筆しました。
  場所図をクリックすると公式サイトへジャンプします。


寺院の「門前町」。 写真の左方に「山門」がある。 橙色の布をまとっているのは僧侶とのこと。

楼門は石造りであった。 ヒンズー教の寺院であるため,神々達のレリーフが彫られている。
アンコールワットの上流に当たるので,当たり前と言えば当たり前なのだが。

(左)表門の内部天井。   (右)門の壁に掲げられているシバ神とその奥方・パールバティのレリーフ。 奥方が触っているのはもちろん「リンガ」。

表門と中門(右)の間。 この寺院では,ここはまだ寺の中ではないらしく,靴を履くことが許された。 そういえば,車やバイクも入っている。

これが中門。 これから寺の中となる。 が,牛も平気で入って行くなぁ。
先導するガイドの左に拝観料を納める事務所があり,その脇で靴を脱いだ。 地元の人は,車の中で裸足になっているとのこと。

(左)ヒンズー教徒であろうと異教徒であろうと,ここからは裸足なのだ。
(右)正面が石造りの寺になる。 本堂とその他のお堂があるらしいが,屋根が掛かっているので区別が付かなかった。

①(左)お堂に入った所から入口を見返している。 ②(右)牛が祀られている。 シバ神の乗り物なのだ。

③ 寺院の屋根を支える全ての列柱には,この想像上の聖獣が彫刻されている。 下は象で,何かを飲み込んでいる,まではわかるが,・・・。

④ この先が本堂だ。 現地の女性は全てサリーだった。

⑤ お堂には行ったところ。 左回りが順路だというので,矢印に従った。
正に「万灯会」である。 ここは西域なので,日本の万灯会のルーツに当たるのだろう。

⑥ 神々を祀ってある区画は柵が作られてあって,普段は入れないらしい。

こちらは天井(梁)の守り神。 歯をむき出した怪しいスタイルであるが,同じ物は二つと無いという。 

天井や梁の守り神。 同じようなものがカソリックの聖堂にもある。
どこかで発明した様式が,東西に別れて伝わったとしか思えない。

⑦(左)シバ神の僕?Nandhi(牛の化身)とリンガ群。 ウェブサイトによると,このお寺には全部で1008個のリンガがあるという。
⑧(右)祭りの時に街に繰り出すという山車の一つ。 おちんちんが凄いなぁ。

⑨ リンガの向かう先は「ガネーシャ」を祀るお堂。 子授けと安産の神様のようだ。

⑨ このリンガを形作っている灯明を作る女性たち(時間を少し戻している)。 奥は,ガネーシャ堂。

⑩ 裏門に当たるゴープラム。 屋根には例の歯をむき出した神とコプラ。 二体の像はターンダヴァバ・ダンスのポーズのようだ。

⑪ 灯明を作っている女性。 もっとも,無料か有料化は聞き漏らした。

⑫(左)寺院の最奥部。   ⑬(右)右のようなお堂は,ヒンズー教徒で無いと入れないのだ。

⑬ ヒンズー教寺院のお坊さん(pujari:priest)。 注:黒板の日付が前日の25日になっている。

⑭ これでお堂の中を一周した。 入った時にはいなかった楽隊が,大きな音で宗教音楽を奏でていた。 石造りなので音が反響し,耳が痛くなるほどだった。

⑮ 沐浴場。 冬のせいか誰も使っていなかった。

⑯ 入口に戻ってきた。 シバ神の僕「ナンディン」が祀られている。 黄色もリンガで,実にリアルだ。
最終編集:2021年08月08日