大谷石採取場跡地の陥没に伴う野外AE現象


 



 
3.陥没地の概要

 栃木県の調べによると、最近の35年間に大谷石の採取場の陥没事故は22ヶ所にのぼり、その中の最大は1955年7月11日に発生した面積20,000uの陥没であった。 図−3はこれらの陥没のうち、最近の3ヶ所の陥没の発生場所を示した。 また、表−2はそれぞれの陥没の規模である。

 A、B、C(写真−2)は何れも本観測システムの設置以前に発生した陥没であり、BとCの陥没はAが陥没したために2次的に発生したものである。

 D(写真−3)は観測システムの稼動直後に発生した陥没であり、E(写真−4)からGは更に1年余りが経過した時に発生した陥没である。

 これら3ヶ所の陥没の特徴は、陥没は概ね円形を示していること、陥没の縁は殆ど垂直に切り立っていること、砂礫層下位の大谷層にドーム状の広がりが見られること、1回の陥没は徐々に進行するのではなく、極めて短時間に終了することなどにまとめられる。

 本文では、このE、Fの陥没とGの沈下の前兆現象について述べるが、これらの原因となった採取場について略記すると以下のようになる。
 ・2つの業者によって採取され、何れも廃坑になって30年余り経過している。
 ・採取場の天盤の深度は概ね地表から60m程度、採取層厚は25mから30m程度であった。
 

    
図−3 最近の陥没発生場所
   
    
写真−2 C陥没地を東の縁から北を撮す。 
    
写真−3 D陥没地を南の縁から東を撮す(SS層の下部に向かってアーチ状が形成されている)。
    
写真−4 E陥没地の西の縁から東を撮す。