大谷石採取場跡地の陥没に伴う野外AE現象


 
 

8.野外AEの波形的特徴
 
 図−8は、代表的な観測波形である。 最上段は1990年3月29日に発生したD陥没自身の振動波形であって、最上部の3つの波形は陥没と共に落下した地震計I−3の記録である。

 波形に示したA点で陥没が発生し、B点で地震計が自由落下を開始したものと考えている。 陥没直前の数時間は野外AEを殆ど検出していないこと、陥没地から数百m離れた別の観測点の陥没波形は、主要動が10秒程度の継続時間しか示していないことなどから、底が抜け落ちたような急激な陥没であったことが判明した。 これは、写真に示されるように、陥没の縁が直角に切れ落ちていることと符合するものであろう。

 下段は、野外AEの代表波形であるが、ここに示した3つの波形は、発生位置の推定計算結果や人工落石実験の結果などから、天盤もしくは残柱の上部からの落石による振動であると考えている。 発生地点の近傍は比較的シャープな立ち上がりを示しているが、100m程度離れるとS/N比が悪化するという共通の特徴を持っている。

 また、亀裂の発生に伴う狭義のAEの場合には、伝播距離が10m〜20mと極めて短いことが確認されている。 これは、大谷石がポーラスであるためと考えている。

 紙面の関係で野外AEの周波数特性を図示することはできないが、代表的な波形の周波数特性は、落石による野外AE(振動)の卓越周波数は10Hz〜30Hz、進行性の亀裂による野外AEの卓越周波数は100Hz以上が多い。
 

図−8 陥没波形と野外AEの波形例